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肺炎球菌感染症を予防方法

肺炎は今も怖い病気です

あまり知られてはいませんが、実は日本人の死因第4位となっているのが「肺炎」です。
肺炎は明治~大正、さらに昭和初期に大流行をした疾患であり、当時の国内の死因として第1位となっていました。
しかしその後医療の進歩や治療状況の改善によって飛躍的に患者数は減り、一時期はほぼ完全になくなったかのように見えました。

しかしその後昭和55年ころから少しずつ患者数が増え始め、平成に入ってからの死亡原因として今まで上位に位置することになっています。

昭和初期の頃の肺炎は主に乳幼児がかかるものとされており、まれに中高年がかかることがあるという認識が持たれていました。
しかし現在では肺炎を最も多く罹患するのは高齢者世代となっており、特に65歳以上の人の死亡率は抜きん出て高くなっています。

乳幼児がかかる肺炎も完全になくなったわけではなく、小児科では肺炎と診断される子供が数多く見られています。
体の免疫力の低い子供やお年寄りがかかった場合、肺炎はそのまま死亡例にもつながる大変恐ろしいものであるので、早めに対策をするとともに普段から感染予防に努めてもらいたいです。

肺炎の原因は肺炎球菌の感染

肺炎を発症する原因は「肺炎球菌」という細菌の感染です。
他の理由により肺炎になるということも全くないわけではないのですが、現在病院で診断される肺炎患者さんの大半は肺炎球菌によるものです。

肺炎球菌の感染を予防するための最も有効な手段はワクチン接種で、「小児用肺炎球菌ワクチン」と「高齢者用肺炎球菌ワクチン」という二種類のワクチン接種が現在国により定期接種として導入されています。

この2つのワクチンは乳幼児の感染に多いタイプと、高齢者の感染に多いタイプとで分類し危険度の高い血清をまとめて接種できるようにしているものです。

小児用肺炎球菌ワクチンの接種は全部で3回接種するものとされており、生後2~7かげつの赤ちゃんに27日以上の間隔をおいて行われます。
さらに個人の判断で追加接種を受けることもできます。

高齢者用肺炎球菌ワクチンの場合、65歳からの高齢者が対象となり一人一回受けるものとされています。
その他にも60~65歳以上で過去の病歴より肺炎に罹患をした場合に重篤な症状となることが予想される場合も接種の対象となります。

ワクチン接種で気になるのが副作用ですが、基本的には乳幼児を対象にしたワクチン接種で何らかの副作用が出たという報告はありません。
高齢者では若干のしびれや腫れなどが出るケースがあると報告されています。
もし接種をしたあと体調に変化があればすみやかに診療期間に申し出るようにしましょう。

基礎疾患がある場合にはリスクが高くなります

乳幼児の肺炎も確かに怖いですが、現代の肺炎で最もリスクが高いのは高齢者です。
特に高齢者の中でも過去に脳梗塞や慢性肺疾患、糖尿病、気管支喘息、慢性心疾患を罹患したことがある人は肺炎による死亡リスクが増大します。

定期接種で行われるワクチンは「多糖体ワクチン」と言われるもので、一度受けておけばその後繰り返し受ける必要はないとされます。

特に近年ではインフルエンザウイルスによる発病後に肺炎に進展するといったケースも多く、小さな病気だからと我慢をしていたら肺炎になっていたということもあるので十分に注意が必要です。
ワクチン接種は住所のある市町村からの通知がありますので、必ず忘れないように接種をするようにしましょう。