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アメリカで発生した「耐性菌」における3つの対策

「耐性菌」とはどういうものか

近年の薬学会に大きな衝撃を与えた事例の一つに「耐性菌」の発見があります。
耐性菌(たいせいきん)とは、人の病気のもとになる細菌やウイルスが薬剤の成分に対して耐性を持つようになり、それまで効いていたはずの薬品の効果が低くなってしまった状態のことを言います。

この耐性菌はアメリカで発見されて間もなく日本にも医療現場で一般的に知られるようになり、今後薬剤をどのように使用していくかという課題を投げかけています。

そもそもなぜこの耐性菌が発生してしまったかというと、それは本来病原を退治するために使用されてきた薬品が、そのために必要な分量に達していなかったためそこにあった病原菌の一部が生き残り、次回以降同じように投与された薬に対しての耐性を持ってしまったということが考えられます。

また抗がん剤のように長期的に服用をしなければいけない薬剤が、長期にわたり同じ人の体に入れられることによって体がその成分に慣れてしまい本来の性能を発揮できなくなってしまったということもあります。

耐性菌の中でも極めて面倒な性質を持っているのが「多剤耐性菌」と言われるもので、これは複数の抗菌剤に対しての耐性を持っているため、一つの薬品では対応できなくなったため別の薬品に切り替えてもやはり効果が出にくくなってしまうという性質を持っています。

耐性菌の感染事例も

実質的に薬がきかない状態になってしまう怖い多剤耐性菌ですが、この菌のさらに恐ろしいところは外部に感染を広げることもあるということです。

実際に過去には病院内で一人の患者さんの体にあった多剤耐性菌が院内感染を起こし、同じ症状を持つ人が100人以上になってしまったということがありました。

院内感染は病院施設において最も注意をしなければならないことではありますが、未知の病原菌でもある多剤耐性菌の感染は従来までの方法では完全に防ぎきれなかったということでしょう。

薬の投与によりさらに性質を変えることがある多剤耐性菌はその罹患人数が増えるほどさらに対応が難しくなっていってしまうということもわかっているため、発見があったときには速やかに治療をするとともにできるだけ感染が広がらないようにしていく必要があります。

現在のところこの多剤耐性菌が一般の人の生活で感染拡大を起こす可能性はかなり低いものとはされていますが、今後条件が揃ったときに発症をする可能性も指摘されており、薬の服用には十分に注意していく必要があります。

耐性菌を防ぐために私達にできること

一見耐性菌の存在や予防は医療機関がすればよいことのようですが、実は薬を服用する私達一人ひとりの心がけがかなり重要となります。

というのも耐性菌が誕生する仕組みとしては、特定の病気に対して処方される抗生物質を十分な量服用しなかったり、途中で服用をやめてしまったようなとき、生き残った細菌が進化して耐性菌になることがあるからです。

怖い耐性菌を防ぐための対策としてあげられることとして現在3つが挙げられます。
つまり「自己判断で薬の量や回数を決めない」「服用中にひどい下痢があるときは使用を一旦中断する」それと「必要以上に不安を感じない」ということです。

まとめてしまえば、かかりつけの医師から処方された薬は用法用量をしっかり守り、体に異変があったときにはすぐ相談をするということにつきます。