CRO

薬剤師が主役のビジネス

CROやSMOという言葉は、一般になじみはありません。
CROというのは受託臨床試験実施機関の略で、日本全国で30社程存在します。
製薬会社が新薬を開発した場合、できるだけ速やかに認可が下りることが求められますが、CROはそれをサポートするビジネスなのです。

主に臨床試験(治験)を製薬企業から受託し、医薬品開発を支援するというビジネスです。
ビジネスの流れは、まず製薬会社が新薬開発のための治験をCORに委託します。
それを受けて、CROはまず試験実施計画書を作成します。

主な業務

プロトコル通りに進行しているかどうかをモニタリングする業務をCRAと言います。
次に、治験データを入力し、そのデータの管理をします。
データマネジメントと言いDMの2文字であらわされます。

データはそのままでは意味を成しません。
入力管理されたデータを分析し、統計解析業務を遂行します。
尚、厚労省の「医薬品の臨床試験の実施の基準に関する省令」に遵守しているかどうかを確認します。
法令遵守を保証するのはCROの重要な業務です。

市販後の調査

CROの業務は厚労省に新薬が認可され市場に出回ってからも続きます。
新薬の有効性の検証や安全性について調査します。

臨床試験は市販後も続きます。
市販後臨床試験と言い、試験内容は用法や用量が適当かどうかを検討し、有効性や安全性について再検証します。
また、薬を投与した後の体内動態を調べます。

CROの需要

1997年に厚労省が制定した新GCPという省令に遵守するためには、製薬会社に課せられた作業は膨大となり、多くの人材とエネルギーが必要となりました。
製薬会社はこうしたコストを削減するために、業務の一部をCROに委託します。
製薬会社から委託され滞りなく遂行するビジネスとして欧米諸国では既に定着しており、今後日本でもCRO企業が増えて行くことが予想されます。

兵庫県にある理化学研究所の施設「SACRA」の開発で、自由電子により原子レベルで化学変化を観察することが可能となりました。
例えば癌治療薬として、ピンポイントで効力を発揮する副作用のない薬の開発がそれにより可能となるのです。
それにより、新薬開発のラッシュが予測され、今後CROの業務が急増する事は間違いないのです。

製薬会社がそれまで行ってきた業務の一部をCROが確実に滞りなく遂行する事で、製薬会社の負担を減らし本来の業務である新薬開発に集中する事ができるようになります。
今後もCROの業務が拡大していく可能性もあり、同時に競合も激しくなることが予想されます。
CROの業務に携わることができるのは、薬学に深い知識を持つ専門家である薬剤師なのです。